西村院長の歯科コラム

笑気吸入鎮静法

カテゴリ:インプラント, 無痛治療(痛くない治療), 笑気吸入鎮静法 

これまでの歯の治療で、痛い思いや嫌な経験をしたことで、今後の治療に不安を感じておられる方がいらっしゃいます。
治療に際しては十分に局所麻酔をすることが基本ですが、その局所麻酔にすら不安を感じる方もおられます。当医院では、治療を困難に感じられる方のために、リラックスしながら治療を受けていただける「鎮静法」を提供しています。
鎮静法には、
・笑気吸入鎮静法
・静脈内鎮静法
・経口鎮静法
・筋肉内鎮静法
の4つがあり、それぞれに長所と短所があります。
笑気吸入鎮静法とは、20〜40%の笑気ガスと残りを酸素の混合ガスにして鼻から吸入する方法です。この方法の長所は、鼻のマスクを装着するだけで実施できるという簡便さが挙げられます。また酸素を同時に投与していて、血中の酸素濃度を維持できるため、体への負担が軽くなります。終了時には、マスクを外すことで速やかに数分で覚醒できます。

笑気吸入鎮静法が適応となるのは、
・歯科治療への恐怖心が強い方(鎮静されることで不案感が軽減します)
・治療の際の嘔吐反射でお悩みの方(舌の過敏な状態が改善し、緊張がほぐれます)
・パニック障害(鎮静により興奮が抑えられリラックスできます)
・治療に対する不安感により、血圧が上昇し治療の継続が難しい方(リラックスすることにより、血圧や脈拍が平常に戻りやすいです)
などの場合です。
実際の笑気ガスによる導入は低濃度より開始し、鼻マスクの装着後5分以上経過してからその効果が現れます。体が暖かく感じたり、指先がジーンとする感じがしたり、ふわふわとした感覚になることもあります。その効果を例えれば「陽だまりの中でゆったりと過ごしているような雰囲気」という感じです。この状態を心地よいと感じればそのまま治療の準備に移行します。もしその時点で違和感があったり、鎮静を継続することが好ましくないと感じられたら、笑気ガスを切り、酸素100%で吸入していると数分で平常時と同じ感覚に覚醒できますので、いつでも即座に中断できるという安心感も得られます。

また、笑気吸入鎮静法は
・保険適応です(治療内容によります)
・呼吸に合わせて自然に吸うだけなので導入がスムーズ
・効果がマイルド
などの特徴があります。しかし、効果がマイルドなので、恐怖心が強かったり、1時間以上の長い治療では、静脈内鎮静法を選択する方が適切かもしれません。

短所としては、
・体内に他科の疾患による閉鎖空間がある場合の内圧の亢進
・妊娠初期では使用できない
・鼻づまりでは使用が困難
・高濃度にすると、嘔吐を誘発することもある(低濃度での使用が基本です)

などが挙げられますが、通常の使用においては特に問題となることはほとんどありません。
まとめとして、笑気吸入鎮静法は治療法に応じて保険適応となり、不安感や嘔吐反射が強かったり、緊張による血圧や脈拍の上昇を生じやすい方の緊張を緩和しリラックスしていただくことができます。

患者さんの症状やご希望に合わせて、他の鎮静法と合わせて適切な選択ができるよう御相談に応じますので、ご質問やご要望がございましたらスタッフにお伝えください。


詳しい説明が必要でしたら、お気軽にお尋ねください。